はじめに
どうも、右京です。
更新が遅れてすいません。テストなどで色々忙しかったんです。
でも今は長期休暇です!たまっていた本をどんどん読んでいきます!
感想も上げていくので、読んでいただけたら嬉しいです。
本編
『雨月物語』の概要
さて、今回紹介するのは『雨月物語』
『雨月物語』とは、江戸時代に作られた小説集です。幽霊や化け物がメインの、いわゆる怪異小説が9話おさめられています。
日本文学の中でも人気の作品でして、色々な方が翻訳されています。今回は青木正次さんという方が翻訳したものを紹介します。
全体の構成としては以下の通りです。
原文(~けりとか、いわゆる古語)→現代語訳→注釈→訳者の考察
純粋に『雨月物語』というお話を楽しみたいのであれば、現代語訳と注釈で十分だと思います。
考察の方も興味深いところはあるんですが、けっこう内容が難しいです・・・
さて次は簡単に収録されているエピソード×9を紹介しますね。
白峯(しらみね)
平安時代の歌人・西行(さいぎょう)という方が、怨霊となった崇徳院(すとくいん)に遭遇するお話です。
簡単に言うと、西行が崇徳上皇に対してレスバをしかける・・・みたいなお話です。
ちなみに崇徳院とは、後継争いのために反乱を起こし、敗北した天皇です。反乱後は罪人として扱われ、非常に冷たい待遇を受けながら死亡してしまいました。
彼の死後に災害が怒ったり世の中が不安定になったことで、崇徳上皇が怨霊となって祟りを与えていると言われ、恐れられたと伝わっています。
菊花の約(きつかのちぎり)
儒学者の左門(さもん)に助けられ、義兄弟の契りを交わした武士の宗右衛門(そうえもん)。宗右衛門は故郷にある大事な用事があったため、左門の元を去ります。そして菊の節句に(今で言うと9月9日)左門のもとへ帰るという約束をします。
そして約束の日、宗右衛門は左門のもとへやってくるのですが、その宗右衛門の様子はなにかおかしくて・・・?
主人公二人の絆と、そんな絆を守るための行動に感動できるエピソードです。
浅茅が宿(あさぢがやど)
血で血を洗う戦国時代、商売で一旗上げようと考える勝四郎(かつしろう)は、秋には帰るという約束をし、妻の宮木(みやぎ)を置いて京に行ってしまいます。しかし色々な事情で、結局7年の月日が経ってしまいます。
ようやく故郷に帰ってきた勝四郎ですが、待っていた妻にはある異変が起こっていて・・・
どこまでも救われないお話です。宮木は勿論、勝四郎にも色々事情があって・・・。時の流れの無常さに涙する、しみじみエピソードです。
夢応の鯉魚(むおうのりぎよ)
近江国(今の滋賀県)の僧侶・興義(こうぎ)は画家として知られていました。特に鯉の絵を好んでおり、彼が夢の中で鯉と遊んだ様子を描いた絵は「夢応の鯉魚」と呼ばれ、人気でした。
そんな彼が息を引き取った時のこと。その三日後に彼は生き返ります。そればかりか、彼が亡くなっていた間に行われていた、檀家の宴会の様子を事細かく当てるという奇跡を起こします。
一体どういうことかと問い詰められた興義は、ある不思議な話を語りだすのです・・・。
夢がテーマの怪異譚です。これと似たような話で、『怪談レストラン』のヒラメになあれというお話がありました。僕のトラウマアニメです。ご興味のある方は是非。
仏法僧(ぶつぽふそう)
旅に出ている拝志夢然(はやしむぜん)とその子供・作之治(さくのじ)が高野山に向かった時の話です。
山で夜を過ごしていると、仏法僧という珍しい鳥の鳴き声が聞こえます。「ぶつぱんぶつぱん」・・・二人が珍しがっていると、そこにある武士の一行が現れます。
なんとその一行は、とっくの昔に死んだ豊臣秀次とその家臣だったのです・・・
豊臣秀次は、かの有名な豊臣秀吉の養子です。ですが秀吉に実子が生まれると邪険に扱われ、最後には切腹させられたとされています。
吉備津の釜(きびつのかま)
浮気ばかりする正太郎と、その妻・磯良(いそら)。
二人の結婚式の時、釡の湯が沸きあがった際に音が鳴れば、その結婚は吉。鳴らなかったら凶という儀式が行われます。なんと音は鳴らなかったのですが、とにもかくにも二人の結婚生活が始まります。
しかし正太郎は浮気相手と駆け落ち、磯良は悩み苦しんでしまうのです。
そんなある日、浮気相手が不意に亡くなってしまい、さらに正太郎の前に不思議な女性が現れて・・・
雨月物語の中でも純粋に怖い話です。物語の顛末や愛の怖さがよく伝わる、おすすめエピソードです。
蛇性の婬(じやせいのいん)
親のすねをかじりながら過ごす豊雄。ある大雨の日、雨宿りをしていた彼はうつくしい女性・真女児(まなご)と出会います。
惹かれあう二人ですが、豊雄の身には不可解な出来事が起こり始めます。
そして真女児の正体が明かされ、豊雄はとんでもないことに巻き込まれ・・・
タイトルからネタバレを喰らっているような気がしますが・・・こちらも愛ゆえに人が狂うお話ですね。昔の怪談あるあるです。
青頭巾(あをづきん)
旅の僧・改庵禅師(かいあんぜんじ)はある村を訪れます。そこで彼は村の近くにある山寺に、人食いの僧が出るということを聞かされます。
その僧は真面目な方だったのですが、自分の世話をしていた少年が死亡したことで豹変。可愛がっていた少年の死を受け入れられず、遺体に寄り添ううちに、なんとその死肉を食べてしまったのです。
改庵禅師は彼を仏の道に戻すため、山寺へ向かうのですが・・・
食人系のお話です。怖さというより気持ち悪さが勝りますね。
そういえば雪女で有名な小泉八雲も同じような話を書いていました。モチーフはこれなのでしょうか?
貧福論(ひんぷくろん)
お金持ちで倹約家な武士・岡左内(おかさない)。ある夜彼が寝ていると、黄金の精霊と名乗る小さな老人が現れます。
彼は精霊に、長年抱いていたある疑問をぶつけます。なぜお金持ち程悪い性格の人が多いのか、なぜ金稼ぎは悪いものと思われることが多いのか?etc・・・
そんな疑問に対する精霊の返答は、彼にとって意外なもので・・・
怪談というよりかは、問答といった方がよさそうなお話ですね。
でもここで書かれるお金への考え方は、かなり的を得ています。呼んでみて損はないと思いますよ。
終わりに
いかがだったでしょうか?
今回は『雨月物語』を紹介しました。ほかにも漫画版などもあるので、興味のある方は是非読んでみてくださいね。
それでは、また。
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