本紹介
さて、本日は古本屋・YOMSさんおすすめの本、『遠くへ行きたい日に読む本』をご紹介します。
この本は『きょうはこの本読みたいなシリーズ』というものの一つです。このシリーズは誰かを好きになったとき・けんかしたときなど色々な場面をテーマにしたお話を載せています。
この『遠くへ行きたい日に読む本』もタイトル通り、どこかへ出かける短いお話や詩を15話も載せているんです。
コロナのせいで旅行に行けない、何もかも投げ出してどこかに行ってしまいたいなんて考えている方には、ぜひこの本を読んでほしいなと思います。
それではここから、この本の中でも特におすすめのエピソードを、三話紹介します!
おすすめエピソード
『いじわるな町』作:柏葉 幸子
これはあるふしぎな秘密を持つ町をめぐるお話です。
その町にはなぜか、数字がつけられた場所がたくさんあります。実は、この数字が町の秘密に大きくかかわっているんです。いったいどんな秘密があるのか、分かりますか?さらにおかしなことに、人によってはどうやっても行くことができない場所もあります。どれだけ詳しく書かれた地図があっても絶対に迷ってしまい、たどり着くことができないんです。
実は、この数字が町の秘密やふしぎな出来事に大きくかかわっているんです。いったいどんな秘密があるのか、分かりますか?
実は、この町の数字が描かれた場所に行くためは、その数字に応じた年をこの町で暮らしていないと行くことはできないのです。
例えば、三年小路という場所に行きたいのであれば、三年間この町で暮らしていなければいけません。二十年坂であれば二十年、前九年町であれば九年…といったように。
そんなふしぎな町に暮らす主人公・ユキは自分の祖母からその秘密を聞かされ、町のふしぎな場所を知っていく…という物語です。
住んでいる年数に応じて行ける場所が増える町…個人的にはすごく住んでみたいです。
その町に住んでいれば「あと二年で○○、五年で××」みたいに、年を重ねるごとに楽しみが増えるわけですからね。こんな町なにも面白くないみたいなことには絶対ならなさそうです。
『落とし穴』作:眉村 卓
林間学校に訪れた学生たち。暇を持て余した彼らは長さ一メートル半の大きな落とし穴を作ります。
自分たちのつくった落とし穴に満足した彼らは、そこにやってきた教師を落とし穴に落としてしまいます。
しかし、ふしぎなことに落とし穴に落ちたはずの教師は姿を消してしまいます。さらに、それを不審に思ったある生徒も穴の中に入るのですが、その生徒も消えてしまったのです。
もちろん大騒ぎになってしまい、たくさんの教師や生徒がやってくるのですが、だれ一人として穴の中に入ろうとするものはおらず、物語は終わってしまいます。
誰にでも作れそうな落とし穴なのに、次々と人が消えてしまうという日常の恐怖の話でした。果たして消えた教師と生徒はどこへ行ってしまったのでしょうか。『遠くへ行きたい日に読む本』の名の通り、僕らの世界では行くことのできない遠くの場所へ行ってしまったのかもしれませんね…。
『オーロラ通信』作:きどのりこ
みなさんは何か続けているものはありますか?ひたすら打ち込める何かがあると、ときに信じられないような奇跡が舞い降りるかもしれませんよ。
主人公の賢はアマチュア無線が大好きな男の子です。さすがに本物の無線はなく、いつも使っているのは無線のおもちゃですが、その知識は大人顔負けのレベルです。
賢がいつものように遊んでいたある日、不思議なことにおもちゃの無線機から声が聞こえてくるのです。その声の主はチリギニアクと名のり、自分は北極のオーロラ通信社におり、賢が住む家の風景や、外の様子を教えてほしいと頼み込んできます。これをきっかけに賢とチリギニアクのふしぎな交流が始まります。
あるとき、賢は夢を見ます。夢の中で賢は北極におり、その目の前に一匹のキツネが現れます。そのキツネはなんと無線機のおもちゃを使いながら、話しかけているのでした。
そうです、そのキツネこそが、チリギニアクと名のった人物なのでした。
夢から覚めた賢は、自分が話していた相手がキツネだったことを知り驚きますが、かかってきた無線をとり、北極の友人と通話を始めるのでした。
自分の趣味に打ち込み続けた結果、かけがえのない友だちを手に入れた賢。彼に舞い降りた奇跡は、何かに一生懸命だった賢に対する、オーロラがくれたごほうびだったのかもしれませんね。
終わりに
いかがだったでしょうか?
コロナ事情で外出が難しい今だからこそ、旅を思って未来に期待しましょう!
それでは、また。
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