本紹介!『鍋奉行犯科帳』作・田中啓文

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はじめに/あらすじ

どうも本のすけの右京です。今回は田中啓文さんの『鍋奉行犯科帳』を紹介します。まずはあらすじからどうぞ!

大阪西奉行所に新しい奉行がやってきた!その名も大邉久右衛門(おおなべきゅうえもん)。食事を何より愛する美食家で、とにかくよく食う大食漢。ついたあだ名は「大鍋食う衛門」。いつも食事を優先して、奉行としての仕事にもやる気がない久右衛門に勇太郎をはじめとする部下は振り回されてばかり。そんな久右衛門だが、大阪を揺るがす事件が起きるたび、意外な知恵を出すときもあって・・・。果たしてこの奉行、ただの食いしん坊かそれとも名奉行なのか?読むとお腹がすいてくる時代劇ミステリー!

感想

「なんか食べたくなってきたなぁ・・・」読み終わったあと真っ先にこう思いました!この本では疾走事件やケンカ騒ぎ、不審者など大阪を舞台に様々な事件が起こります。そんな事件を担当しているのが大阪西奉行所!トップの奉行を中心に、与力や同心が事件解決のために奔走します。
しかしこのトップを務める大邉久右衛門が、まぁ変わった人物です。3度の飯が何より大好きで、食事がおろそかになると仕事もしたがらない、堅苦しい作法や形式はお構いなしという破天荒な人物。これだけ聞くと不真面目な人のように見えるんですが、不思議な魅力も持っているんです。夏バテに苦しむ部下にウナギをおごってやったり、仕事がうまくいかない部下を休ませ食事の重要性を説いたり・・・おかしな人ですが思いやりも持った上司でもあるんです。

この本の一番の魅力、それは飯テロにあります!この本で起こる事件は食と関連している場合がほとんど。そんな時に活躍するのが久右衛門です。彼が披露する「食の知識や欲求」が、事件解決のヒントになります。もちろん謎解きも面白いのですが、やはりこの食のうんちくが面白いんです。

「・・・温飯の間で蒸すので、『間蒸し』と名付けたそうだ。」

第二話 ウナギとりめせ

これは同心の勇太郎が自分の部下とウナギを食べているシーンです。勇太郎は大邉久右衛門から教えられたウナギを温かいまま運ぶ方法を話しています。そのやり方というのが「ウナギを温飯の中に入れて、温かさを保つ」というもの。一見すると単なるウナギの美味しい食べ方。この何でもない食の知識が、事件解決の糸口になるんです!どうつながるかは本編をご覧ください!
さらに、料理の知識だけでなく、食事を楽しむシーンも秀逸ですよ♪

「美味い・・・」勇太郎は、こんな菓子を食べたのは生まれてはじめてのことだった。指でつかんだ感触はしっかりと固いのに、舌の上に載せると、ふわっ、とした感覚が一瞬したあと、甘みだけを残して、雪のように消えてしまう。

第四話 絵に描いた餅

ハッハッハッハァ・・・甘味、今すぐ口に甘味を入れたい、そんな気持ちになりませんか⁉バラエティの食レポ以上に食欲をそそられちゃいますよね!食べ物の絵も使わず、文字だけでこんなにおいしそうな表現は中々ないのではないでしょうか。お次はエピソード紹介です!

エピソード紹介

第一話 フグは食ひたし

大阪西奉行所に新しい奉行、大邉久右衛門がやってきた!「大鍋食う衛門」と呼ばれるほどの美食家兼大食漢の彼に奉行所は振り回されてばかり。そんな中、千鳥屋の主人が鉄砲奉行配下の与力・喜多村の元へ出かけたまま、行方不明になってしまった。しかし喜多村のほうでは「会う約束もしてないし、こちらにも来ていない」の一点張り。さらに事件を追っていた同心。勇太郎の部下も何者かに襲われ怪我をしてしまった。久右衛門が出したこの謎を解決するヒントは・・・なんとフグ⁉はたして主人はどこへ消えてしまったのだろうか?

第二話 ウナギとりめせ

凶悪な強盗殺人犯・くちなわの瓢吉が大阪で暴れ始めた。彼を捕らえようと働く西奉行所だが、彼の潜伏技術に翻弄されてばかり。民衆からの非難に加え、夏の暑さにも苦しむ部下たちにも焦りが見え始めてきた。そんな中いつもと変わらぬ様子の久右衛門、夏バテにもならず食事もしっかり堪能していた。しかし事件の不可解さに気づいた久右衛門は、瓢吉をあぶりだすために自ら行動を開始し・・・

第三話 カツオと武士

武士ばかりをねらった辻斬り事件を追う同心・勇太郎。事件捜査の中、彼がかつて通っていた道場に、流浪人・大熊平蔵が勝負を仕掛けてきた。真剣勝負を繰り広げた彼と意気投合する勇太郎だったが、ある疑問が生まれる。剣の腕もたち、戦うことにもためらいがなく、夜な夜な街に繰り出すと言った不審な行動をとる大熊こそが、辻斬りの犯人なのではないか?友人を信じたい勇太郎に対し、大熊は自分の正体を明かし始め・・・

第四話 絵に描いた餅

大阪でも人気の菓子屋、玄徳堂を営む菓子職人太吉。彼は京の名店菓子屋とお菓子を買ってもらう得意先の件でもめ、菓子勝負をすることになっていた。ところが彼に対し謎の不良が因縁をつけてくるなど不穏な出来事が勃発。さらに京の奉行所から太吉を捕まえろという命令までやってきた⁉どうやら彼と揉めている名店菓子屋が怪しいらしい。彼のお菓子の虜になった久右衛門は一計を案じ・・・

終わりに

いかがでしたか?今回は田中啓文さんの『鍋奉行犯科帳』を紹介しました!なんだか食欲がわかないときには、この本がおすすめです。作中で繰り広げられる謎解きを楽しみながら、飯テロを喰らってみれば、あっという間に食欲もわきますよ♪
それでは今日はこの辺で。ではまた。

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