はじめに/あらすじ
どうも、本のすけの右京です。今回は柚月裕子(ゆづきゆうこ)さんの『孤狼の血』を紹介します。
簡単なあらすじとしてはこんな感じ。
暴力団を担当する呉原東署捜査二課に就任した新米刑事・日岡修一。彼の上司・大上章吾は犯罪者を捕まえるためなら、暴力やヤクザとも協力する悪徳刑事だった。日岡は大上に振り回されながら金融会社社員の失踪事件を追う。そんな中市内の暴力団、尾谷組と加古村組の対立が激化し、大規模な抗争が始まりつつあった。大上と日岡は抗争を防ぐため奔走するのだが・・
感想
内容的にはガッツリ警察小説ですね。大上さんのキャラなどハードボイルド要素がありますが、割合としては3~40%ぐらいです。この作品は全3部作でして、その第一作目に当たります。主人公の日岡とベテラン刑事大上のバディストーリーといった感じです。
大まかな感想としては、とにかくリアルと感じました。難しい謎解きがあるわけではなく、複雑に入り組んだ暴力団同士の利益関係、警察のメンツ問題に人間関係を一つ一つ解きほぐしながら事件解決へ向かっていきます。その中で行われる泥くさい捜査、時には非合法な取引の描写、これが素晴らしい!事件解決のためなら暴力スレスレの取り調べも、容疑を作り上げるのもお構いなし!市民の安全のためなら綺麗言なんて言ってられない、警察のリアルな裏の一面が伝わります。
一本のストーリーとしてはシンプル。登場人物や組織が多いため相関図は必須ですが、「暴力団の抗争を止める」という目的からは全くぶれていません。かなり長めのお話なので途中で飽きが来るかもしれませんが、伏線の配置も上手ですし、最後のオチやエピローグも納得のいくものだったので、なんだかんだ言って最後まで読めます。文章もあっさりしているので、個人的には読みやすい警察小説だなと思いました。
登場人物もいいキャラクターをしていますね。大上さんは事件解決のためなら違法捜査も平気でするし、暴力団からの賄賂も受け取る悪徳刑事。警察組織の鼻つまみ者だけど、刑事としては優秀だから解雇もされない・・・未熟な後輩刑事の日岡にはすごく厳しく体罰も平気でするけど、大事なことはきちんと教え、信頼もしている。そんな日岡も大上に疑問を抱いているし反発もしているけど、ただ否定するだけじゃなくて大上から何かを学ぼうとする。そんな二人がどんな活躍をして、どう変わっていくのかという様子は見ていて面白いですよ。
終わりに
今回は柚月裕子さんの『孤狼の血』を紹介しました。小説だけじゃなく、どうやら映画版もあるそうなんです。なんと日岡役は松坂桃李さん、大上役は役所広司さんという豪快俳優陣だそうで。僕もどんなふうに小説と違うのか見てみたいと思います。
それでは今日はこの辺で。ではまた。
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