はじめに
こんばんは、暑さで吐きそうな右京です。いや、本当に最近暑すぎませんかね?
「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」
鎌倉時代に作られた随筆、『徒然草』の一節です。
めちゃくちゃ雑に言うと、「冬は何とかなるからさ、家つくるときは暑さに注意しとけよ。暑いのはマジで耐えられんぞ。」みたいな感じです。
昔から日本の夏は厄介なものだったんですね。
昔は色々暑さを乗り切る工夫がいりましたが、、今はクーラーという最強のアイテムがあるんですから、ガンガン使っちゃいましょう!
さて本日は、そんな暑い日に読んでもらいたい、登場人物にゾクッとするミステリー小説『怪物の木こり』を紹介していきます!
ネタバレを含みますので、自分で読みたいって人は注意してくださいね。
登場人物
二宮彰(にのみやあきら):本作の主人公。優秀で人当たりの良い弁護士だが、自分の邪魔となる人間を何人も殺してきたサイコパス。怪物マスクに襲われたことをきっかけに、殺人をためらうようになってしまう。
杉谷九朗(すぎたにくろう):二宮の友人。自身の研究のために人を殺害するサイコパス。
荷見映美(はすみえみ):二宮の交際相手。
戸城嵐子(としろらんこ):ある連続殺人事件を追う刑事。
乾登人(いぬいのぼる):戸城の先輩刑事。剣持との間でトラブルを起こしたため、左遷されていた。
北島信三(きたじましんぞう):東間事件を捜査していた刑事。
剣持武士(けんもちたけし):二年前におきたある事件の容疑者。妻を殺害した容疑をかけられていた。
東間翠、和夫(とうまみどり、かずお):二十六年前に東間事件を起こした殺人犯。子供たちを誘拐し、脳チップを埋め込み、15人を殺害した。助け出されたのはわずか四人だったとされている。
怪物マスク:二宮を襲った謎の人物。サイコパスを敵視している。
ストーリー
二宮編
弁護士事務所を営みながら、自分の邪魔となる人間を殺害するという生活を送るサイコパス、二宮彰。
ある日彼は、怪物のマスクを被った何者かに襲撃され、頭部に大きなダメージをおってしまいます。
なんとか逃げ切ることができた彼は、怪物マスクを見つけ出し復讐することを誓います。
しかし、脳の検査をしたことで彼に隠された秘密が明らかになります。なんと彼の脳には、入れた覚えのない脳チップが埋め込まれていたのです。
さらに脳チップが壊れたことで、人を殺すときに躊躇をしてしまう・危害を加えられる子供を見ると反射的に守ってしまうという、今までの彼にはありえない症状が出るようになってしまいます。
自身に隠された秘密を暴き、そして自分の不調を治すため、彼は殺人マスクを探しながら、自身の秘密を探っていくことになるのです。
連続殺人事件編
一方そのころ、世間ではある連続殺人事件が騒がれていました。
それは被害者たちを殺害した後、斧で頭を割り、脳みそを持ち去るという、非常に猟奇的なものだったのです。
被害者である二宮真澄(にのみやますみ)、岩田三郎(いわたさぶろう)、満田義男(みつたよしお)、鈴木祥子(すずきしょうこ)、小林光彦(こばやしみつひこ)の五名。
彼らに共通する点は、恨みを買いやすい言動をしていること、場所は違えど児童養護施設の出身であること、そしてある脳チップを埋め込まれていることでした。
そして彼らは二十年前に起こったある誘拐殺人事件、東間事件にたどり着くのです。
真相編 *ネタバレ注意*
東間事件の真相、それは人間に脳チップを埋め込み、脳の働きを制御することで、人を人工的にサイコパスにするというものでした。
彼女たちには幼いころ死亡した子供がいたのですが、その子供は生粋のサイコパスであり、彼を治療するため、誘拐殺人事件を起こしたのでした。
殺人事件の被害者たち、剣持武士、二宮は東間事件の生き残りであり、人工的に作られたサイコパスだったのです。
人数が合わない理由は、助けられた四人の前に、誘拐後捨てられた子供たちがいたためでした。
そして二宮を襲撃し、被害者たちの脳を持ち帰った犯人、それこそが剣持武士だったのです。
彼は東間事件の影響で脳チップを埋め込まれ、後天的にサイコパスと化していました。
その後彼はサイコパスとして生活するようになりましたが、二年前、保険金目的で自分の妻である咲を殺害してしまいます。
サイコパスである彼にとっては罪悪感など感じることなどなかったのですが、あることをきっかけに人の心を取り戻してしまったのです。
それこそが剣持と乾の間に起きたトラブルでした。彼は咲の父親と乾にあった際、父親のことを馬鹿にし、それに激怒した乾によって殴られていたのです。
しかし、殴られたことで人をサイコパスにする脳チップを破損、これにより彼は今までの自分の行動に対し、大きな罪悪感を抱きます。
そして彼は東間事件によりサイコパスとなった被害者たちを殺害し、これ以上サイコパスとなった人によって誰かに不幸がと訪れることを食い止めようとしたのです。
ラスト
剣持は映美を誘拐し、事件の生き残りである二宮を殺害しようとします。
しかし、人の心を取り戻していた剣持では映美を傷つけることはできず、二宮に返り討ちにされてしまいます。
見事復讐を遂げた二宮は、あえて脳チップを修復せず、人の心を理解することを選ぶのでした。
感想
書評
ここからは僕の勝手な感想です。
この作品はミステリーに当たるのですが、ミステリー作品としては若干物足りないと感じます。
複雑なトリックや、巧みなレトリックといった要素は薄めです。
一方でサイコパスが自分のためだけに犯人を追う、相対する連続殺人犯も同様にサイコパスなど、登場人物や作品の設定自体はとても面白いものです。
また、ミステリー特有の説明パートが若干見づらく、テンポが少し悪いのかなと思います。
おすすめのひと
ミステリー作品として読むのは善いと思います。
ただ東野圭吾さんのような複雑かつ難解なトリックを読みたい方には、あまりおすすめできません。
どちらかというと、そこまでガッツリしていない、軽いミステリー作品を読みたいという人にはおすすめします。
初心者の方にはおすすめできません。本を読みなれていない方には、途中で飽きがくるかもしれません。
今回はここで終わりです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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